投稿規約と個別の契約を先に確認する

自分で書いた作品でも、投稿時の利用規約や企画参加時の条件を確認します。公開を認める範囲、独占性、書籍化に関する連絡の要否などを読みます。通常の投稿規約とは別に、コンテストや書籍化の契約を交わしていないかも確かめてください。

有料公開や電子配信をすでに行っている場合は、それぞれの契約も並べます。紙の本を作れることと、他の場所で電子版を販売できることは同じ判断にならない場合があります。わからない条項は、予定する媒体と公開状況を伝えて窓口へ確認します。

投稿を消せば条件が消える、題名を変えれば別作品になるとは考えないようにします。必要な記録を保存し、変更や公開停止の手続きを確かめてから進めます。応募候補作が含まれる場合は、文学賞の記事も併せて確認しましょう。

連載の各話を本全体の章へ組み直す

ウェブ連載では、読者が前の話を読んでから時間を置いて戻ってくることがあります。本では続けて読むため、各話の冒頭にある振り返りが重複に感じられる場合があります。前回の説明がなくても状況が伝わるか、通して読んで見直します。

各話の末尾に置いた引きも、一冊の中で働くかを確認します。同じ問いかけが続くなら、場面をまとめる方法も考えます。ただし、連載時の勢いをすべて消す必要はありません。人物の決断や時間の変化に合わせ、読者が自然に休める区切りを探してください。

一話完結の作品は、公開した順序に加えて、季節、主題、人物の変化で並べる案を作ります。途中の話からでも読めるのか、先の話を読むと秘密がわかってしまうのかを確認します。連作の具体的な整理は短編集の構成を参考にできます。

横書きの見た目を縦書きへ機械的に移さない

画面で読みやすくするために入れた空行と、場面の切り替えを示す空行を分けます。縦書きへ変えたとき、同じ空白が物語の間として働くかを試します。行が短くなったことを理由に、原稿の途中で入れた改行も見直してください。

英数字、記号、会話の括弧、三点リーダーやダッシュを一覧にします。投稿サイト独自のルビ記法は、入稿先が受け取れる形へ変換する必要があります。記法が本文として印刷されないか、読みの付く文字がずれていないかを確認します。

スマートフォンの画面を意識した短い段落が、紙では余白の多いページになることもあります。逆に、段落をつなぎすぎると語り口が変わります。表記ルールと試し組みを使い、残したい呼吸を確かめながら整えましょう。

加筆は既読者と初読者の両方に向けて判断する

書籍化のために加筆するときは、長くすること自体を目的にしないようにします。動機の説明が足りなかった場面、唐突だった時間の移動、結末の余韻などを読み直します。追加によって、前の場面に伏線や説明を補う必要がないかも見ます。

投稿版の読者向けに書き下ろしを加えるなら、本全体の構成の中で役割を決めます。本編の理解に不可欠なのか、読了後に楽しむ補足なのかを区別します。初めて読む人が、別の場所にある設定を知らないと理解できない作りになっていないか確認してください。

あとがきや感謝の言葉には、読者コメントを無断で転載しないようにします。感想の紹介を希望する場合は、言葉の使用と名前の表記を相談します。加筆部分だけでなく、前後の章と合わせて校正し、人物の口調や時系列を照合しましょう。

紙・投稿・電子の併存条件を整理する

KDPなどの電子出版も利用するなら、選択する配信条件を確認します。独占配信を伴うプログラムでは、投稿サイトや個人サイトの公開との関係を読む必要があります。通常の出版と追加プログラムの条件を分け、最新の規約に照らして判断してください。

表紙や挿絵の利用範囲も、投稿用と書籍用で確認します。投稿時に使った画像が、販売する紙の本や電子版にも使えるとは限りません。制作者へ依頼した場合は、宣伝画像への加工と、著者ページでの掲載も含めて合意しておきましょう。

読者への告知では、投稿版と書籍版の関係を明確にします。加筆の有無、収録範囲、続きの読む順序を説明すると選びやすくなります。購入先と公開先を案内する前に、どの範囲を併存させられるかを確かめておきます。

刊行版の原稿と変更記録を残す

書籍用の原稿を編集し始めたら、投稿版と区別して保存します。投稿側で誤字を直した場合は、書籍の原稿にも反映するかを確認します。どちらが最新版かわからなくならないよう、変更した箇所と反映先を記録してください。

表題や章題を変えた場合は、投稿時の初出情報も残します。印刷後に修正が必要になったときは、増刷用と電子版の対応を分けて相談します。まずは投稿先と契約の一覧を作り、今回の本に収める範囲と、残す公開版を決めましょう。