奥付は作品の発行情報を確かめられる場所
奥付には、書名、著者、発行日、発行者、印刷所などの情報をまとめます。小説の本文を書き終えた後は、こうした付属ページの原稿も用意します。どの項目をどう記載するかは、発行の方法に合わせて制作担当者と確認してください。
物語の最後のページと奥付の位置を分けると、読了後の余韻を保ちやすくなります。あとがきや初出一覧を載せる場合は、それぞれの役割と順序も決めます。付属ページを後から足すと全体のページ数が変わるため、本文の組版前に予定を伝えましょう。
奥付を既刊書から丸ごと写すと、発行元や制作条件まで誤って引き継ぐおそれがあります。参考にするのは項目の並び方にとどめ、今回の本の情報で作り直します。定型文にも、自作に当てはまらない説明が入っていないか目を通してください。
ペンネームと発行者は役割を分けて考える
表紙に表示する著者名と、発行の責任を担う発行者の表記は区別します。ペンネームを使うからといって、契約の本人情報や発行者の記載まで同じ扱いになるとは限りません。公開する情報と手続きのために提出する情報を分けて相談します。
本名や自宅住所の記載が必要かは、一律に決めつけないようにします。著者自身が発行するのか、出版社を通じて出すのか、どのように販売するのかを伝えて確認します。個別の法的な表示義務に迷う場合は、専門家や所管機関へ相談してください。
著者名を決めたら、読み方、漢字、空白、旧字の扱いを一覧にします。表紙、扉、奥付、商品情報で揺れると、同じ著者の本だと伝わりにくくなります。複数の筆名を使い分ける場合も、その本で表示する名前を先に確定しましょう。
ISBNは届け先が求める識別番号として準備する
ISBNは本を識別するための番号で、著作権の登録や作品の品質を認める制度ではありません。番号が付いても、販売や宣伝が自動で始まるわけではありません。小説の評価や受賞歴を示すものとして紹介しないようにします。
家族や知人へ直接配るだけなら、ISBNを使わずに作る選択ができます。一方、取次を通じた書店流通ではISBNなどの識別情報が必要です。発行方法と届け先を決め、必要なコードを流通の担当者へ確認してから準備します。
日本図書コード管理センターは、ISBNの使用が法律で一律に義務付けられているものではないと案内しています。番号の取得だけを先行させず、誰が発行し、どこで取り扱う本なのかを明確にします。申請方法などの詳細は自費出版ガイドのISBN解説も参考にしてください。
番号と販売情報は担当を決めて揃える
出版社へ依頼する場合は、誰の出版者記号で発行するか、登録を誰が行うかを聞きます。著者が別に取得を進める前に、依頼先の手続きと重ならないかを確認します。Cコードや書籍JANコードなど、必要な表示も一緒に相談しましょう。
登録する書名は、本文の題名だけでなく、副題やシリーズ名との関係も整理します。短編集では、本の表題と個々の収録作の題が混ざらないようにします。表紙のデザインで改行していても、登録上はどう表記するかを決めておきます。
紙と電子を併用する場合や、判型を変えて出し直す場合には、識別番号の扱いも確認します。古い番号を使えるかは、変更の内容や媒体の条件に照らす必要があります。自分で判断して再利用せず、発行元や日本図書コード管理センターの案内を確かめてください。
納本は書店販売とは別の制度として確認する
国立国会図書館の納本制度は、出版物を収集し、保存するための制度です。個人の自費出版も対象になり得ます。販売の有無やISBNの有無だけで対象を決めず、発行する本の性質を公式案内に照らして確認します。
制作を依頼するときは、納本を発行元が行うのか、著者が行うのかを聞きます。必要な本の確保や手続きの記録も担当を決めます。制度の対象や方法が判断できない場合は、国立国会図書館へ発行の状況を伝えて確認してください。
納本をしたことと、地域の図書館に所蔵されたり書店に並んだりすることは別です。作品の紹介に「図書館推薦」などの評価を付け加えないようにします。寄贈によって読者へ届ける計画は、読者の見つけ方で別に考えましょう。
校了前には表紙から登録情報まで読み合わせる
本文の校正が終わると、奥付は確認済みと思い込みやすくなります。書名、著者名、発行情報を、表紙や扉と並べて読み合わせます。初出一覧、素材の制作者名、許諾で指定された表記も別途確認してください。
変更があったときは、本文だけでなく登録予定の情報にも反映します。発行日や書名の最終確定を、誰がいつ行うかを担当者と揃えます。まずは奥付の項目を仮に書き出し、発行者と公開する連絡先、ISBNと納本の担当を相談して決めましょう。
